2023.08.02

Oppenheimer

映画、オッペンハイマーを観てきました。

唯一の被爆国の日本ではまだ公開予定もないようですが、アメリカだけで無くヨーロッパ諸国でも話題の作品です。3時間になる長編映画なので、最初はどうなる事かと思っていましたが、オッペンハイマーの育った環境や研究についてが対話形式で続いたあと、1時間ほど原爆製造のプロジェクト、マンハッタン計画の様子が語られ、残りはアメリカでの”赤狩り”と呼ばれていた共産党員への弾圧などが表現されていて、政治的な裏の話などが作品のプロットを締め括ってました。

映画の冒頭にギリシャ神話のプロメテウスの事が語られ、、ゼウスから天界の火を盗み、人々に与えたとして、生涯拷問にあったとされる話ですが、今回の映画の元になったAmerican Prometheiusと言う原作(著Kai Bird , Martin Sherwin)にも使われている表現で、原子爆弾を作ったオッペンハイマーに重ねてこの作品のテーマに近い感じです。(原作は早速Kindleにアップロードしました)

日本とアメリカの原子爆弾に関しての考え方がいかに違うのか実感させられた映画の内容ですが、原爆投下から続く冷戦下で人間の命が単なる数字として表現される話には寒気がしました。

実際に原爆が投下された様子や、その後の画像は一切使われておりませんでしたが、原爆投下の正当性を当時のアメリカ大統領トルーマン氏が語る様子が個人的には一番違和感を感じましたし、映画の中で、池に大きな雨の滴が落ちて広がる様子が使われていましたが、まさに世界核戦争になった場合のシナリオのような表現は印象的で、ゾッとした場面でした。

映画館を出る時に私に”お前は日本人か?” この映画をどう思うのか?と質問されましたが、前述のようにアメリカと被爆国の日本での考え方の違いを感じる映画だった、、、と返しておきました。イギリス人にとっても理解のできない立場の映画だったと言えるかも知れませんね。


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